2010年8月16日月曜日

ここはグアテマラ


私が今いるのは中米の一つの国なのだな、と改めてはっきり思った出来事。



今私が滞在しているのは、首都グアテマラシティからバスで1時間弱のアンティグアというところです。

中米の首都はどこでも治安が悪いと言われているのですが、グアテマラシティもその例にもれず、昼間から町中には手榴弾が飛んでいるだとか(これ本当らしい)、給料日後はお金を持った人をねらう強盗が出るから治安が悪くなるだとか、そう聞けば給料日前にはお金がなくなった人が強盗をするから治安が悪くなるだとか(じゃあいつならいいのだろう?)、アグア火山という山に登れば80%の確立で山賊に遭うとか(実際強盗に遭った人を数人知っている)、それはそれは様々な噂を聞いていました。

土曜日に美術館に行き、その帰りに買い物をしようとバスに乗っていたときのこと。
JR東海道線の通勤ラッシュぐらいにはバスは混んでいて、でもなんとか私が乗ったときには座ることができて、降りる場所の近くになって席を立って、ぎゅうぎゅうの中を出口近くで待っていたとき、かばんに違和感を感じました。あれ?と思いつつもかばんが自分の前にきちんとあること、ファスナーが閉まっていることを目で確認して、よし大丈夫、と思い、そのままバスが停留所に着くまでのほんの少しの間に。ナイフでかばんを切られてしまいました。

噂は聞いていました。鞄が切られることもある、と。
その被害に遭った人の話も聞いていました。でもまさか自分の身にそれがふりかかってくることを想像もしなかったので、起こったことの驚きとショックと、約6年使って体に馴染んでいた鞄を切られてしまったことの悲しさと。治安が悪いのは分かっていたから、貴重品は持たず、お金も分散させ、小銭入れはその鞄の内ポケットに入れていたので何も盗られてはいないのですが。

でも、ほんとうにあるのだな、と思ったのです。
ここには、ほんとうにそういうことをして生きている人が少なからずいるのだな、と。


今まで少しでも世界のいろいろな土地に行って、想像以上の貧富の差を目にすると、強盗だけが悪いとは言い切れないような気がするのです。資本主義が、その社会体制が、豊かな人や国が貧しい人や国から搾取している現実が、強盗を生み出してしまうのだなと思うと。そうすることが生きるすべとなってしまうのだな、と思うと。

遊ぶためのお金のための強盗もいるかもしれないけれど、生活のための強盗も少なからずいると思います。以前聞いたのは、強盗は副業だから、ということ。本業は農業だったり別の仕事を持っている人がほとんどだけれど、それでは生活が苦しいから強盗する人が多いんだ、ということ。

人のものを勝手に奪ったり理由なく人を傷つけたりすることは認められることではありません。それは悪いことだと、はっきりと確信を持って思います。
強盗を肯定することなんて到底できないけれど、でも私は彼らの生活の苦しさを知らないから、それは悪いことだとも、どこか一言では言えないように思うのです。

それでも、私は強盗に遭うのも恐い思いをするのももうこりごりです。
ここは中米にある一つの国、グアテマラでした。
もっと気をつけなくてはいけないし、中米にいるという意識を持たないといけないな、と改めて思った日でした。


もう一つ、ここはグアテマラだと感じたこと。
美術館が雨漏りすること。(今までいろいろな美術館に行ったけれど、雨漏りする美術館は初めてです。しかもそれは国立美術館なのです。置いてある作品はものすごく素晴らしく、もう一度行きたいぐらいなのに、雨漏りって•••。しかも数カ所雨漏りしていて、当然のようにバケツが置いてあるのです。直接作品には当たらなくても、作品が劣化する気がします。おまけに受付のおじさんの裁量で入場料の値引き可です。それでいいのかグアテマラ。)


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