20代のころ、特に後半はたくさん旅をしてきました。
高校生のころ、沢木耕太郎の『深夜特急』を読んで以来、熱に浮かされたように
旅のことばかり考えていて。
とにかく知らないところに行ってみたかった、ただそれだけ。
遠い世界に人々が住んでいるということ、ただそれだけを感じたくて。
「世界は」なんて簡単に言えることでは決してないけれど。
今まで見てきたものが大きすぎて、どうしたってことばにはまとまらないけれど。
分かったことは、ほんとうに、あちこちに人が暮らしている、生きているという
当たり前の事実。人の生活がある、という実感。
お茶しておしゃべりする時間も、喧嘩も、恋愛も、ごたごたも、仕事も、食事も
人々の暮らしが、何の変哲もないふつうのことがきちんとありました。
そして私が見たかったこと知りたかったことは、実はそういったこと。
雄大な自然でも遺跡でもなく、人々の暮らしをただ感じたかっただけ。
去年の夏、中央アジアに行ったときにはっきりと感じたことは、
もう旅は終わりでいいな、ということ。
旅は楽しい、でも、少なくとも今までしていたような旅は私にはもう必要ないし
できない、ということをはっきりと感じました。
どうして?と言われてもそう言うしかありません。
とにかく、あぁ、終わったんだな、と静かにはっきりと思ったのです。
旅が必要だった時期は確実にあって、その時は旅が終わるなんて想像もしなかったけれど。
そんな時期がきちんと来たことを、寂しくも、嬉しくも思います。
旅先で出会った人々、日本で待っていてくれた人々、
ブログを読んでくださっていた人々に、心の底から深く感謝します。
ありがとうございました。
必要なものを必要なだけ見せてくれた旅の神様にも心からの感謝を。
ありがとうございました。
「旅をする」時期は終わったけれど、今後も旅人のように生きていけたら、と思います。
新しく知るものにどきどきして、出会う人と物語を交換しながら、身軽に、
真っ白でニュートラルな気持ちで。
出会った人に頂いた優しさや笑顔や強さを、少しでも周りに還せるように。
旅はおわり、そして、このブログも本日で終わりにします。
つたなくてごく個人的な文章と写真におつきあい下さり、どうもありがとうございました。
春風のここちよい20代最後の日の夜に。
感謝と今後の祈りを込めて。