2010年2月19日金曜日

"Build bridges, not walls"

イスラエルにいて思うことはたくさんあって、私の見たものはほんの一部分で偏った視点だということはわかっているけれど、そして上手に文章にする自信もないけれど、でも思ったことを書いてみようと思います。

イスラエル国内にはいくつかのパレスチナ自治区があり、私はそのうち2つに行きました。1つはベツレヘムというところで、キリストが生まれたと言われる教会があり、観光客がたくさん来るところです。もう1つはヘブロンというところで、イスラエル側との抗争がよく起こるらしく、日本のガイドブックには紹介されていない(以前は載っていたらしい)ところです。

ヘブロンはパレスチナ人の街で、でもところどころにユダヤ人の住居もあるところでした。歩いていると、「うちを見てって」と声をかけられ、見せてもらったのは、水のタンクの銃弾のあと(「イスラエル兵士がやったんだ」)、近くの建物の屋上から銃を持って見張りをするイスラエル兵士。ユダヤ人はあんなことをやってこんなことをやったんだ、と話してくれました。

そしてそれは、その話をしてくれた男の子にとってのビジネスでした。観光客に(多少誇張して)その話をして、お土産を買ってもらったり寄付をしてもらったり、被害者であることをビジネスにしているような印象を受けました。(そういえば、インドのダラムサラでも同じ印象を受けました。Free Tibetをビジネスにしているような。)それが悪いとは全く思いません。それよりも、たくましいな、と思います。
人はどんな中でも生きていかなくてはいけなくて、それぞれの生活の中で楽しいことを見つけだしたり、お金を稼ぐ方法を見つけ出さなくてはいけません。パレスチナ人には、日本人の私が想像もできない大変さがあるのだと思います。それでも、人々はおいしいものを食べて、笑って、たくましく生きているような印象を受けました。

エルサレムからバスで1時間弱、ユダヤ人側の首都テルアビブにも行きました。こちらはユダヤ人の街で、ヨーロッパのようでした。アラブ人の匂いがしません。人々の顔つき、服装、そして物価まで、ヨーロッパみたいだ・・・と思っていました。人々は開放的な格好で道を歩き、カップルは仲良く歩き、夜はたくさんお酒を飲み。夜9時過ぎでも、女性が一人で犬の散歩に出歩けるほどの治安のいいところでした。

ヘブロンとテルアビブ、全く違うところでした。宗教も人の顔つきも、言葉も物価も町並みも違うのに、同じ国の中ということが不思議です。異なる宗教を持つ異なる民族が、1つの国に住む複雑さを感じていました。

パレスチナ人はユダヤ人の監視下で暮らしていかなくてはいけないし、ユダヤ人にしても、徴兵があって時には銃を撃たなくてはいけないだろうし、パレスチナ問題も落ち着いていないという中にいるのだけれど、それでも、それぞれの場所で人々は力強く楽しそうに暮らしている、という姿が私の目に映りました。政治や生活にそれぞれ不満はあるだろうけれど、それでも、きちんとみんな楽しそうでした。そんな姿を毎日あちこちで目にしました。

日本に来た外国人が、日本人はきちんと楽しそうに暮らしていると思うのかな、日本人はたのしく暮らしているのかな、と日本人の私はふと思いました。

Build bridges, not walls (塀ではなくて、橋をつくって)
ベツレヘムの分離壁に書かれていた言葉です。

2 件のコメント:

  1. もうね、読んでいるだけで「???」ってなってきちゃう。
    状況にしてもそうだけど、どうしてそうなってるのかってことにしても。
    本当に、知らないことだらけ。

    でも、きちんとみんなが楽しそうな国って、いいな。
    悲しいけど、日本ってその対極にいる気がするので...
    灰色の日本(みんな同じようなスーツで無表情で)
    MOMOって本しってますか?
    あの中に出てくる灰色の男たちは、日本人なんじゃないか、そうだったら嫌だなって思います。

    橋が出来る日がくるといいなぁ。

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  2. こんにちは。読んでくださっていてありがとうございます。

    モモは、私も好きな本の一つです。好きな本、というか、特別な本です。初めて読んだ大学生のときに、衝撃を受けました。私も同じことをよく思います。灰色の男たちの手の中に日本はだいぶ入ってしまっているのではないかな、と。それでも、そうではない人もいることはわかっています。でも、やはりだいぶ灰色社会だと思います。

    明るい顔して生きている人がいるところって、力強い気持ちになります。政治や外交に問題はたくさんあっても、人の力がしっかりしているところはきっと大丈夫なんだろうな、と。

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