2010年2月12日金曜日

イスラエルとパレスチナ

ヨルダンとイスラエルの国境へ向かうバスの中で会った女性が言ったこと。「パレスチナに行くの?」
パキスタンで見た世界地図には、Israelという文字はなく、その土地を指し示す言葉はPalestine。

私は今までこの土地を、何も考えることなく「イスラエル」だと思っていましたが、パレスチナの土地だと思っている人も少なからずいる、ということに最近やっと気づきました。


今日は、パレスチナ自治区に行ってきました。
塀に囲まれていて、中に入るには空港のようなセキュリティチェックを受けなくてはいけない、という噂を聞いてはいましたが、それは本当でした。



塀、と言っても全くあたたかみのない、無機質な、ただ中にいる人を外に出さないように作っただけの塀でした。この中に入るには、身分証明を見せ、指紋をとられ(観光客は免除)、そして出るときには荷物検査。ここの歴史は古く、この問題に関して一言で言えるようなことでは全くないのですが、パレスチナ自治区、とは言いながらも、イスラエルが(ユダヤ人が)パレスチナ人を支配しているように見えてしまいます。

中に住んでいるのは、パレスチナ人、つまりはムスリムのアラブ人です。ムスリムは大概どこでも人がいいように思います。ここもその例にもれず、人が親切でした。道を尋ねれば丁寧に教えてくれ、困っていれば声をかけてくれ、お菓子の屋台をのぞいているだけで「食べろ」とお菓子をもらい。

エルサレムの街とは全く違うように感じます。エルサレムの街を歩いていると、緊張した雰囲気がどことなく漂っています。銃を持った兵士が多いこと、一般の人もたまに銃を持って歩いていること、何かあればその引き金を引くのではないのか・・・と思ってしまうような雰囲気です。親切な人ももちろんいます。ただ、空気として、どこかひやっとしたものを感じます。

今日思ったことは、歴史が人をつくる、ということ。
それは当然のことかもしれませんが、迫害されてきた歴史があり、ほとんど常に緊張状態にある国だから、だからそんな雰囲気になるのかな・・・と。

国という単位がなくならない限り、世界が平和になることはとても難しいのかもしれない、とも思います。そんなことを簡単に言えることでは決してないとも思います。それでも、今の状態は何かがおかしいと思います。何かが、確実に、おかしいように感じます。
民族のため戦っている人がいる、それを知ることができてよかったと思います。

世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない   

宮沢賢治 『農民芸術概論綱要』

2 件のコメント:

  1. 本当に、かけがえのない経験をしているのですね。
    Halunaさんのブログには「○○を知ることが出来ただけでも、きてよかった」と書かれてあることが多いけど、そう思えるような何かを知れるのって、とてもうらやましいです。
    情報として知るのではなくて、経験として知れることが、とても羨ましいなあと思いました。
    それから、それを知るために歩ける強さも、羨ましいなぁとおもいました。

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  2. emiさん、こんばんは。

    私はちっとも強くないし、へなちょこなのですけれど、やっぱり自分で歩いて見て、やっと空気が少し分かるのかな、と思います。ほんの少しでも、ここまで来てよかった、と思える何かがないと私自身旅を続けられない気がします。モチベーションがもたない、というか。

    ほんの数時間数日見ただけでは、何も分からないし、私が見たものも観光客としての上澄みのみだということも、わかっています。それでも全く知らないよりはいいかな、と思っています。

    きっとそれぞれの人の生活で、それぞれのことを知っているんだと思います。だから、みんなそれぞれ知っていることが違うんだろうな、と。私はemiさんの編み物の腕がうらやましいですもの!

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