2009年12月18日金曜日

写真について思うこと

写真を撮ることが、好きです。
そんなに上手ではないし、どんな写真が「いい写真」と呼ばれるのか、全くわからないけれど。

写真に興味を持ち出したのは、20歳を過ぎたあたりから。急に、フォトグラファーというか、写真をやっている人と知り合うことが増えたから。岐阜県とか高知県に住んでいて、日常生活の中で、フォトグラファーと呼ばれる人と知り合うことはそうそうないのに、なぜか、旅先で、とか、友人の友人、とか、知り合うことが度々あり、その人たちの写真を見せてもらっているうちに、興味を持つようになりました。

写真はカメラのシャッターを押せば誰でも撮れるからね、なんてことを聞いたことがあるけれど、その人しか撮れないものも絶対に確実にあると思っています。

ラホールで、写真を撮って本を作ろうとしているオーストラリア人に会いました。彼の写真を見せてもらうと、私もそのとき毎日歩いていたラホールが違う街のように見えました。あれ、外ってこんなに美しかったんだ、と。

その人がどんな視線で、どんな角度でものを見ているのかがはっきりとわかります。その人の視線の先にあるものがよくわかります。同じところにいても、見ているものは違います。写真を見たらそれがわかる、と思います。 
だから、写真っておもしろい、とおもいます。こんなにも人が出るということを、最近やっと思うようになりました。

今回の旅でも、本当に不思議なことに、写真を撮っている方に(職業として、とか、作品を作るために、とか)よく出会います。出会いは不思議です。


実はレンズが壊れていますががんばって働いてもらっています。

重いし大きいし荷物になるのですが、持ってきてよかったと思っています。

私のつたない写真から、あぁ、この人はこんなものを見ているのね、と思っていただけると幸いです。

あちこちの国の風を感じていただけると幸いです。

2009年12月17日木曜日

ダラムサラの日々



''Carpe Diem”って高校のときの先生がよくつぶやいてたなぁと思いつつ。
(見えます?左側のレストランの名前です)
Seize the Day.

前を通るたび手をふってあいさつしてくれるおじいさん。

冷蔵庫の上の人形を指さし、「ハウマッチ?」ときく友人。
それ売り物じゃあないけど・・・。お店のおじさんあせって「ノーノー!」

私たちの部屋によく遊びに来て寝てる犬。(私たちは「お父さん」と呼んでいる)
あんまり気持ちよさそうなので、まゆげ書いて、めがねかけて、宮沢賢治の詩集読ませて、遊んでいる私たち。
去年の年末は(と言っても年末はいつだって)忙しかったなー、と思いながら。
仕事に、年賀状に、片付けに、何やかやと。
こんな穏やかな日々が続いていることが、とても贅沢に思います。

2009年12月14日月曜日

ダラムサラより

こんにちは。
ダラムサラという、チベットの人がたくさん住む地域にやってきました。
再びの、チベット文化圏です。


ここに来て思ったのは、チベットの人はやっぱり美しい、ということ。

何が美しいのか、うまくことばにはならないのですが、人がぴんとしている感じです。
物腰がやわらかく、控えめで、自己主張も強くなく、日本人に通ずるところがあって、そんなところに美しさを感じるのかもしれないし、居心地のよさを感じるのかもしれません。
(物腰がやわらかくて控えめで自己主張がそこまで強くない、ってインド人と反対だ・・・と今思いました)

非常に、インドっぽくない、ところです。

ここで、友人のえみちゃんに会いました。はるばる、イエメンから遊びに来てくれました。

えみちゃんは、5年前、ラオスに行ったときに首都のビエンチャンで会いました。それからしばらく一緒にいて、日本でもお隣の県に住んでいたので何度か会って、ここで、再会です。

彼女はトータル5ヶ月ぐらいはイエメンに滞在しています。「私がイエメンを好きなのか、イエメンが私を好きなのか、わからないんだよね。」って言いながら。

ここで会う約束はしていたけれど、ここはインドのダラムサラで、本当に会えてしまうことがうそみたいです。彼女はイエメンから一旦帰国後、日本にいて、またイエメンに行って、私はここしばらくアジアをうろうろしていて、約1年半ぶりなのですが、ほんとうに相手が存在していたんだ、ということが信じられなくてうれしくて、です。

ここで、しばらく、えみちゃんとのんびりしていようと思っています。

それでは、また。

日本は寒いようですが、ここダラムサラも、寒いです。でも、こころあたたかく、日々をすごしています。

2009年12月9日水曜日

パキスタンからインドへ

国境を抜けると、そこはインドだった。

と川端康成的に始めてみましたが、国境のゲートを一歩出た途端、私たち(ラホールの宿で会ったスウェーデン人と私)の周りを、5,6人のインド人がとりかこみ、
「タクシー?タクシー?」
「DVD?DVD? ポストカード?」
「チェンジマネー?」
「どこ行くんだ?リキシャー?」
と迎えてくれました。立ち止まって私たちが話をしようとすると話に割り込んでくるし、どこまでもどこまでもついてくるし。笑っちゃうくらい、そういえば、インドってこんなのだった・・・と、気合を入れてくれる国境を越え、インドに戻ってまいりました。

私がラワールピンディを出た4日後に、ラホールを出た翌日に、それぞれの町で自爆テロが起こりました。
私が無事だったことや、自分の目の前に映る光景が平和だったのは、自分が幸運以外の何でもなかったんだ、ということを思います。平和だなんて言うのは不謹慎かもしれないけれど、でも私には、そこは平和に感じたのです。人々が穏やかに暮らしているという意味において。
結局、私は旅行者としての視線でしかものを見ることができないことを、仕方ないとわかっていながらも、時々悔しく思います。私には見えない、もしくは見ていない、現実がある、ということをよく思います。


インド側の国境の町は、アムリトサル。ここでも、パキスタンで出会った何人もに再会しました。

パキスタンで何度も出会ったオランダ人と、「また会ったねー!」とヨーロッパ式のあいさつ(ほっぺを合わせて耳元でキス)をしていたときのこと。
「ヨーロッパの人は、こうやって、右、左と2回キスをするでしょ。」
うん。
「オランダ人はね、もう一回、戻って、ちゅって。3回。」(Back again,って。)
うわー、ステキだー!!!と思ったので、ご紹介。

あちこちで出会った人たちが、それぞれ無事でいい旅をしているということを知るのは、とてもうれしいのです。私もいい旅を続けなくちゃ、と思うのです。

私は今日、インド北部のダラムサラというところに着きました。
それでは、また。

2009年12月7日月曜日

さよならパキスタン

昨日、国境を越えて、無事インドまで戻ってきました。
2,3週間の滞在予定だったのが、パキスタンにいたのは、約5週間。

この国の全てを見たわけでも知っているわけでもないし、私は一人の旅行者としてしかものを見ることができないけれど、思ったことは、誤解を恐れずに言えば、「ここは平和だ」ということ。

平和、というのは、争いごとがない、という意味ではなく、人々が穏やかに暮らしている、という意味において。
おじさんたちはお茶を飲みながらよく笑っているし、珍しい外国人に子供たちは興味深々だし、女性はスカーフで頭を(時には目以外の全てを)隠しながらも「ハロー」と言ってくれるし、独身の男の人たちは気になっている女の子をどう口説くか一日中本気になって考えているし。
どこの国にもある、ふつうの、穏やかな生活が、ここにもありました。

この国の政治や外交には、問題が山積みなのかもしれません。
でも、困っている人がいたら助けるとか、人をもてなすとか、男性同士は握手して抱き合ってあいさつするとか、他者に対してこんなにもあたたかく愛情を持って接する人々がたくさんいるということが、少しずつでも着実に、この国がよい方向に向かっているような気がするのです。

自分が何も知らないことは百も承知で、ホットミルクの膜みたいに上の方しか触れていないこともわかっているし、こんなに気楽なことを言っていられないのかもしれません。
それでも、私は、パキスタンは、危ないだけのところではない、と思っています。迷ったけれど、行ってよかったと、思っています。

イスラムの宗派の違いによってこれ以上の対立が起きないこと、パキスタンの人々が安心して日常生活を送れる世の中になることを、心の底より願うばかりです。

2009年12月6日日曜日

2009年12月3日木曜日

夜、アイスクリームストリートに。

こんにちは。

ただいま、インドとの国境すぐ近くのまち、ラホールにいます。
シーズンオフの上、情勢の悪さから旅行者も少なく、バックパッカーが集まるところも限られているので、あちこちで出会った人と、ここで再会。Everyone is here!という状態です。


ここで3度目の再会をしたオーストラリア人との会話。
「今日の夜、夜ご飯のあと、アイス食べに行かない?」(近くに、アイスクリームストリートという、すばらしい通りがあって、アイス屋がひしめいている)
「行く!でも、何で、夜なの?」
「だって・・・楽しいじゃないか。夜、アイスクリームだよ!?それを考えただけで、1日楽しいだろう?」
・・・たしかにね。納得して、夜9時半の、アイスクリーム。体に悪いものはおいしい。


パソコンをさわりながら、チョコレートを食べていた、イギリス人のおじさん。
「チョコレート食べるかい?」
(私はちょっと遠慮して)「いいです、ありがとう。夜ご飯もうすぐだし。」
「女の子というのは、だれでも、チョコレートが好きなはずなのに・・・おかしい・・・」とつぶやく。
それにしても、女の子は、みんな、チョコが好きなのでしょうか?ほんとう?
チョコは大好きなのですが、がまんが必要なときもある。

いつも歌って踊っている、ベネズエラ人の男の子が教えてくれたこと。
「いいかい、お酒を何かで割って、かき混ぜるときに、指をグラスにつっこんでかき混ぜていたら、それはベネズエラ人だよ。」
イスラムの国で、どこかからかこっそりと手に入れたお酒を飲みつつ、教えてくれました。ベネズエラの人に会ったのは彼が初めてだったのだけど。


そんなこんなの日々を過ごしております。
あと数日でインドに戻ります。


今日、ふと思ったこと。

私が、今、しあわせだと思ったことは、立ち止まる時間がたくさんあるということ。
好きな景色に、うつくしいものに、滞在したい場所に。立ち止まれることが、幸せだな、と。

この先、こんな時間が1年間も持てる時期なんて、そうないはずですし。
きっと、人生に、1度きり。
だから思う存分立ち止まってみたいと思ってます。



ギルギットのまちを走る、河口湖ホテルの、車。
不思議なほど、街になじんでいました。