2013年3月24日日曜日

古いもの、新しいもの


ウズベキスタンには、スザニと呼ばれる刺繍された布がありました。
小さいものから大きいものまで、花や果物などをモチーフとして、手が込んだ刺繍がされている布です。それぞれのモチーフには悪の目から守ってくれるとか、長生きのしるし等の意味があり、刺繍は受け継がれ、それぞれの家庭で大切に使われているものでした。



このような美しい布は観光客のおみやげには最適で、ウズベキスタンの観光地では
スザニを扱うお土産屋さんがいくつもいくつもありました。

ふと、古いものを扱うお土産やさんに入ったときのこと。
見るからに古い布が、あまり手入れされていない状態で置いてありました。
いくつかはほころびていたり、しみがついていたり。

でも、それらは不思議に心をつかむ美しさだったのです。
「きれい」なんて言葉にならなくて、「すてき」とも違っていて、ただ、だまってじっと見つめることしかできない美しさ。

そのお店のおじさんが私に言ったこと。
「新しいものと古いものは違うんだ、新しいもの、こういう場所(お土産屋)に置いてあるものは観光客に売るために作られるけれど、古いものは、作る人が彼ら自身のために、彼ら自身の生活のために作られているんだ」

考えられたデザインのものは美しい、手の込んだものも美しい。
けれど、どんなに美しいものも、その土地に必要だから作られたもの、無駄のないもの、想いの込もっているものには決して敵わないような気がするのです。

新しいものより古いもの、と言うわけでは決してないのですが。
新しいもの(観光客用につくられたもの)のクッションカバーと、古いもの(恐らくどこかの家庭で使われていたもの)のティーマットを買ってきました。
どちらも私にとっては大切なものです。
けれど、何かものを作るときに、このおじさんの言葉を忘れないようにしたいな、と思います。


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